ワーキングマザーのシンプル&スローライフ

臨床心理士(心理カウンセラー)で大学生と中学生の母 acoのシンプルな暮らし

カテゴリ: 書籍・雑誌

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3月10日は、東京大学の合格発表でしたね。

だからというわけではもちろんありませんが^^

東大生5人による強制わいせつ事件を題材にしたフィクション

「彼女は頭が悪いから」姫野カオルコ を読みました。


姫野さんの小説を読むのは初めてです。

いや〜 めちゃめちゃおもしろかった。
イヤな気持ちにはなりますが(爆)



彼女は頭が悪いから
姫野 カオルコ
文藝春秋
2018-07-20





のちに被害者となってしまう美咲の中学時代から話は始まります。

その一家が住んでいるのが、横浜北部のわが家のご近所エリアなので、
笑ってしまう。

美咲の行くことになる県立高校、あそこがモデルだよね、と地元の人なら誰でもわかります^^

それはいいとして、そういう横浜郊外ののんびりしたエリアで、

わちゃわちゃした5人家族で

塾にも行かず、県立高校から女子大に進んだ美咲。

それと、広尾の官舎に住み、官僚の父、専業主婦の母、
東大法学部の兄をもつ、主人公のつばさ(東大工学部)

がどのように出会うのか、その出会いまでの伏線がけっこう長いです。

彼女、彼の高校時代のエピソード、大学に入ってからの交友関係、家族のことが
わりと細かく描かれーー祖父母のことまで描かれています。

人を理解するには、その両親や祖父母まで遡ることが必要、と言われますが、

そのように作者は、家庭環境、そしてそれを学歴や学校という文化に結びつけて
描写しているのが特徴的です。

ここの高校生はすごい、この大学のこのキャンパスの子は〇〇だ、というふうに
登場人物たちがレッテルを張り合う。そういうふうに見るのが当たり前になっている文化。


登場する子たちは、1993年〜1995年生まれ

親の世代はちょうどワタシの世代とかぶりますね(爆)



詳細ははぶかせていただくとして、

5人の東大生たちは、東大生であるということだけで

万能感、優越感にひたり、自我が肥大化し、
そのほかの人たちを見下すようになります。

東大というだけで女の子が寄ってくる、という勘違いが起こってきます。

そこで、見た目や学歴にも劣等感を持っている美咲が出会うと
悲惨なことが起こるわけで。。。

東大生たちは、美咲にしたことのどこが悪いの?
ふざけただけ、
彼女が何で泣いたのかがわからない

という恐ろしいほど共感性を欠いた人たち。


心が「つるつる」なので(こころのひだがない、ということでしょうか)
人の心の痛みが傷、悲しみ、葛藤がわからない、ということらしいです。


読んでて頭にくる!という心境になりますが、

そういう東大生を「哀れな存在」として作者は描いているのだとわかります。

東大生以外をバカにする東大生を、読者が馬鹿にする、そういう構造です。


ここに出てくる親たちもみな残念な人なのですが、

唯一まとも、と思われるのが
つばさの兄です。

東大法学部を出て、司法試験を目指していたのですが、
祖父母の住む北海度に遊びに行き、

そのまま住み着いて、新興私立高校の教員になるという選択をします。

両親は嘆き、弟のつばさも、兄貴は理解できない、となるのですが、

こういう「ノーマル」な人間が出てきてくれると、読む方はホッとします^^

あ、司法試験を目指すのが悪いというのでなく、

兄が精神的物理的に家族と離れた、自立したという意味で、ノーマルと使いました☺


限りなくリアルに近いけれども、作者の想像がつまった小説。
ここまで想像できるのはすごい!(取材とかもあったかもしれませんが)

あの事件だけでなく、ほかにも有名大学生の起こしたわいせつ事件て
こういう背景があるのかな、と思ったりします。

大学生が起こす同じような事件はたくさんあるはずなのに、
有名大学生が起こした、ということで注目を浴びるのも
なんだかな〜と思ったり。

結論:
人を学歴で判断すると思わぬ落とし穴があるかもしれない
男と一緒にいるとき、女はお酒に気をつけて!

どちらもとっても難しいことだと思いますけどね(苦笑)


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2019年1月に読んだ小説は3冊

篠田節子 鏡の背面

佐藤正午 身の上話

山崎豊子 不毛地帯1

少なめでしたが、面白い作品ばかりでした!!




篠田節子 鏡の背面

物依存症患者やDV被害者の女性たちが暮らすシェルターで発生した火災。「先生」こと小野尚子が入居者を救い、死亡。盛大な「お別れの会」が催された後、警察から衝撃の事実が告げられる。「小野尚子」として死んだ遺体は、別人のものだった。ライターの山崎知佳は、過去を調べるうちに、かつて「女」を追っていた記者にたどり着く。一方、指導者を失ったシェルター内では、じわじわと不協和音が…。傑作長編サスペンス。



篠田さんの作品はどれも好きですが、これはイチオシかも!

ミステリアスなうえに、人間とはなにか、という問いがあって。。。
感動した、というより、重い作品、考えさせられる作品でした。

サスペンス、謎解きの要素は大きいので、どんどん読み進んでしまうのですが、

前半は、「先生」は誰だったのか?という謎、

後半、それが誰だかわかってからは、ではどうやって?という謎。

でも最後まで、なぜ?という謎はよくわからないまま。。。

読む人の想像、解釈にゆだねられているような気がしました。

学ぶは、まねぶ(まねる)、とはいいますが、

人をまねることから、人格まで変容するのだろうか。。。

たとえ動機が不純であっても、

という問いがつきつけられます。

まあ、とにかくおもしろいので、読んでみてください!!




鏡の背面
篠田 節子
集英社
2018-07-26




佐藤正午 身の上話

著者の直木賞作品「月の満ち欠け」がおもしろかったので、
これも読んでみました。

さすがのストーリーテリング。
ぐいぐい引き込まれます。

あなたに知っておいてほしいのは、人間にとって秘密を守るのはむずかしいということです。たとえひとりでも、あなたがだれかに当せんしたことを話したのなら、そこから少しずつうわさが広まっていくのは避けられないと考えたほうがよいでしょう。不倫相手と逃避行の後、宝くじが高額当選、巻き込まれ、流され続ける女が出合う災厄と恐怖とは。


地方の会社員であるヒロインが、職場の人に宝くじのお使いを頼まれ、
不倫相手と空港へいき、そのまま一緒に乗って、東京へ行ってしまうという
なんとも、すっとんきょうなエピソードからスタート。

その宝くじが2億円当選していたことから、さらに彼女の人生が狂い始める、
っていう、すごい流れです。

その物語全体を語っているのが、彼女の現在の夫、という人物。

この夫はだれなんだろう?いつ出会うんだろう?というのもずっと気になりながら、

読み進めると、ええ〜っ!?というある意味どんでん返し?的な終わり方になります。

とくになにかの主張があるわけではなく、流される人生、運命に翻弄される人生

というのかしら、人生の不思議、巡り合わせの不思議さとやるせなさを感じます。


身の上話 (光文社文庫)
佐藤 正午
光文社
2011-11-10





山崎豊子 不毛地帯1

いわずと知れた名作。11年間のシベリア抑留生活の後、軍人から、商社マンになった男の物語。

モデルはない、と書いてありますが、この人がモデルでは?というのは有名な話ですよね。

1巻は、シベリアでの話が大半を占めてますが、あまりに悲惨で。。。辛すぎます。

過酷な出来事の連続、それをひたすら耐える主人公やその仲間の心理描写がみごと。

やっとの祖国への帰国。妻子はいてもすぐには働かず、2年間は家にいて、その後、商社に就職。

しかしなかなか気持ちの上での方向転換ができずに、ゆっくりゆっくり慣れさせていった。。。というのが、リアルだな〜と。

全5巻と長いですが、これからの展開が楽しみです☆

不毛地帯(一) (新潮文庫)
山崎 豊子
新潮社
2009-03-17




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