たまたま、「中年期」をテーマとするような小説を二冊よみました。
1冊目はこちら。
母の遺産ー新聞小説 水村美苗
母の遺産―新聞小説 水村 美苗 中央公論新社 2012-03 by G-Tools |
アマゾンレビューでは、辛口批評もありましたが、
ワタシは面白く読みました。
500ページ近い単行本なので
持ち歩くのが大変でしたが、
通勤電車で立って読みましたよ(笑)。
それだけ夢中になれる小説でした。
80代の母と50代の娘二人の女系家族。
強烈な個性の持ち主(自己愛人格?わがままお嬢さん?)の母が
骨折から入院、そして老人ホームに入ることになり。。。。
看取るまでを、次女の視点から描いた物語。
次女自身の夫婦関係の危機も絡んできて、
物語は複雑に。
母や祖母の生育歴に、日本のハイソな暮らしぶりを垣間みることができます。
その暮らしぶりや家柄、というのかな、その描き方が、
正しく美しい日本語で綴られているのが本書の最大の魅力でしょう。
「。。。は、まことに甘露であった」
みたいな日本語です^^
見栄っ張りでハイソな暮らしが大好きな母に育てられた長女、次女も、
「分不相応に贅沢に育てられた」と自覚しています。
母が入った有料老人ホームでも、高級なカーテンで窓辺を飾ったり、
高級なシーツを買ったり。
姉には母を押し付けられ、母にはこき使われた妹(次女)は、
夫にも裏切られるという二重三重の苦難に襲われます。
けれども、次女は、一人で淡々とそれに耐え、
一人である決心をします。。。箱根のホテルで。
そのホテルでの1週間も、幻想的で、ちょっと現実離れしているけれども、
素敵だな〜と思えてしまいました。
中年期、親との関係が逆転するときに(親が弱って行く時に)
どう、自分と親との未解決の問題に折り合いをつけるのか、
そして、夫婦の問題に折り合いをつけるのか、
深い深いテーマが、「お金」という現実的な視点からも描かれていました。
さて、もう1冊は、
篠田節子 「銀婚式」
銀婚式 篠田 節子 毎日新聞社 2011-12-08 by G-Tools |
こちらは、男性が主人公の、中年期の物語。
真面目で仕事熱心、仕事のできる、エリートビジネスマン。
会社の倒産、親友の死、妻の病気と離婚。。。。
と、めまぐるしく危機が訪れます。
その後再就職した会社での葛藤と、本人の病気、
地方の私立大学への就職。
そこでの学生との出会いや職員の女性との恋愛、
自分の息子や元妻とのやりとり。
親の介護問題も出てきます。
次々にエピソードが展開し、飽きさせません。
「銀婚式」っていうタイトルがどういうことなの?と
終わり近くになってもわかりませんでしたが、
最後に、こういうことか〜!と。。。
こういう 「銀婚式」 もあり、なのかな!?
でも、結婚から25年で、こんなにたくさんの経験をするとは。。。
人生お腹いっぱい、という感じでしょうかね。
仕事だけでも大変なのに、
自身と配偶者の健康問題、子どもの受験や就職/結婚問題、
親の健康/介護問題。。。。。
ああ、中年期。
ワタシも10年後(数年後?)はこんな感じになるんでしょうか!?
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