坂東眞砂子さんの小説「くちぬい」を読みました。

くちぬい って何だろう?と惹かれたのですが。。。

高知の過疎地の山村にある神社にまつられているかみさまの名前。

口を縫う、からきているという。。。

なんとも不気味なタイトルです。

ストーリーは、東日本大震災と原発事故のあと、

東京のマンションを売って、

田舎暮らしを求めて、高知に移り住んできた定年直後の夫婦の物語。

夫は、思う存分陶芸をやりたいという動機から、

妻は、放射能汚染から逃れたいという動機から移住して来た二人。

田舎暮らしに求めるものは多少違いがあるのですが。。。

さて、

その夫婦と、地元の高齢の村民さんたちとの交流、

最初はうまくいっているように見えたのが、

「赤線」という、地元民が大事にしている風習を

この夫婦が重んじなかったことから、

いざこざが起きてきます。。。

日本の田舎の良い所と悪い(都会からみて)所が

とってもよく描けているな〜と思います。

田舎というより、日本そのもの、なのかもしれませんが。。。

引き締まった緊張感のある文体ですし、

ミステリー小説のようなドキドキ感があります。

でも、定年後の田舎暮らしは決して甘いものではないですね〜(笑)。

最後は、後味がわるかったので、ちょっと残念かな〜

(アマゾンレビューをみると、これが著者の持ち味みたいですね)

放射能に怯えて逃げてきたけれども、

「人間」のほうが怖かった、

いや、もっとも怖いのは、「自分」だった。。。っていう落ちなのかな!?

あ、それと、

「くちぬい」というタイトルもメタファーになっていると思うのですが、

余計な事は言わない、本音は心にしまっておくという、いかにも

日本人的な心性がテーマなのかなと。

この夫婦も、肝心なことはお互いに言わないし、

村の人たちも同士も言わない。

新参者の夫婦に対しても言わない。

だから、裏で嫌がらせやいじめをする。。。。

陰湿ですねっ!

日本の田舎は大変だよ!ってそれだけのメッセージではないと思うのですが。。。

坂東さんの本は初めてなので、も少し読んでみたいと思いました!!

 


4087754030 くちぬい
坂東 眞砂子
集英社  2011-09-26

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