またまた本のお話♪

恩田陸、読み続けてます[E:happy01]

「常野」(とこの) という、東北の山地に住んでいたとされる、一族の物語。

恩田陸は、文化人類学的で、ちょっとオカルトちっくな物語も多いのですね。

というかそれが真骨頂!?

常野物語は、

「常野物語 光の帝国」が 短編集で、ここには、いろいろな「常野」が出てきます。

すっごくおもしろい!

4087472426 光の帝国 常野物語 (常野物語) (集英社文庫)
恩田 陸
集英社  2000-09-20

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そして、その短編のなかから、ひとり(一家族)の常野を主人公にした、次の長編2冊を読みました。



4087747700 蒲公英草紙 常野物語 (常野物語)
恩田 陸
集英社  2005-06-03

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これは、明治か大正の頃のお話で、かつてお金持ちのお屋敷に出入りしていた女性の一人称で、ていねいな日本語で語られている物語。

与えられた不思議な能力を、何のためにどのように使うのかを真剣に考える常野。そして、周りの人々(常野でない)も、温かく常野を迎えいれるような土壌。

感動のストーリーです。

常野の「しまう」という行為がとっても象徴的だと思いました。

「しまう」とは、暗記する、記憶する、つまるところ民族の記録や歴史をまるごと「飲み込んでしまう」という、常野に与えられた能力であり使命。

ただ単に古典を暗記するだけでなく、その民族の気持ちや感情も含めて自分の中に取り込み、次世代に伝えるのだそうです。

そういうことは、現代社会では、あまりなくなってしまったけれど、昔は多くの民族が行っていたことで、意義深いことだったんだろうなと思ったり。いま学校で古典(古文漢文)を学ぶ意味につながるのかな、と思ったりしました。

「しまう」ことは、文献の暗記だけでなく、ある人が話したことやある人の記憶もまるごと「しまう」ことも含むのですが、それも、人から人へ、芸術や文化、生き方を伝える/学ぶときに大切なことなんだろうな、と。

とってもいいお話でした!

 

4087747913 エンド・ゲーム 常野物語 (常野物語)
恩田 陸
集英社  2006-01-05

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かわってこれは、同じ常野とは思えないほど、現代的で、スリリング。喰うか喰われるかの恐い世界を描き出した、ちょっとホラーの要素がある小説です。

ワタシ的には、あまりよくわからなかった〜

けど、ドキドキしたい方には、いいかもです!