小学校時代の恩師、K先生(70歳)は、顔の印象は多少変わられましたが、メリハリのあるよく通る声は変わることなく、とてもお元気な様子。笑顔で迎えてくださり、たくさんお話することができました。

 私が知らない、同級生たちの近況を教えてくださったり、私の仕事や子育てのことを聞いてくださったり…。先生の教え子のなかでも、「教師になる人より、精神科医やカウンセラーになる人が結構いる…」なんてことも言われていました。

 書道展の会場は、今年に入ってから書いたという70点余りの作品が、美しく飾られ、ひとつひとつじっくり見て回りました。同時に、いままでの教育活動(とくに国語教育)の成果〜文集、冊子、本なども展示され、今回作られた記念誌もいただきました。

 書は、先生の選んだ素敵な言葉がいっぱい! 

 「遅くてもわたしらしく」「人生は鈍行がいいね」「わたしらしく回り道」「混沌のなかに生きる」「涙はいつかやさしさになる」「あしたの風」「平安」「ぬくもり」「夢を抱く」……

 漢字一文字や有名な句の作品もたくさんありましたが、みな、言葉のイメージとぴったりの味のある筆運び(というのかな?)。書は、言葉とイメージが融合した見事なアートだと感じました。1枚もって帰りたかった〜(笑)。人間大好きな、先生の温かさと一途な思いが伝わってきて、胸が熱くなりました。

 記念誌や、私が小学生の頃の文集(なつかし!)を見ながら、先生から教えてもらった大切なメッセージを思い起こしました。

 先生は、子どもが、当たり前のこと/常識的なことを言ったり書いたりすることを嫌いました。先生自身も、とてもユニークな方。

 「人と違うことすることに自信を持ちなさい。自分の中にある、人と違うところ、個性を大事にしよう。そして人のなかにある、自分と異なるよさを認めよう」ということを繰り返しおっしゃっていました。

 小学校4年の終わり、K先生とお別れするときに私たちに書いてくださった言葉は、
「十年後のために…あたりまえでないもの、そこに人間らしい価値を見つける目を向けてほしい。自分の好みではなく、異質のものから真の価値を知ってほしい」でした。

 今の時代に、そして年を重ねた今の自分に、K先生の言葉は、ますます輝きと重みを持って迫ってくるように感じます。

 来てよかった、という感謝の思いにあふれて、会場を後にしました♪