2012年01月
【BOOK】発達障害とパーソナリティ障害
発達障害とパーソナリティ障害―新たなる邂逅 (現代のエスプリ no. 527) 石川 元 ぎょうせい 2011-05-12 by G-Tools |
現代のエスプリ、いつも刺激的な(?)テーマが取り上げられているように思うのますが、これも濃かった〜 読み応え200%でした!!
石川元先生(精神科医、今回の編集担当)の意気込みがすごく伝わってくるような一冊。
医療や矯正施設(少年院など)では、発達障害なのかパーソナリティ障害なのか、診断(判断)に迷うような事例が後を絶たないということ… (ちなみに、学校教育現場でもそうだと思いますが)
そもそも、発達障害とは何か、パーソナリティ障害とは何かを、精神医学の歴史をひもとく形で、解説しています。
アスペルガー症候群(アスペルガー障害)についても、アスペルガー氏の論文にさかのぼり、検証しています。
目から鱗のことがいろいろ!
どうやらアスペルガー氏自身は、いまで言うパーソナリティ障害としてのそれを書いたと思われる。
それを、ローナ・ウイング女史が、認知機能(知的発達)の偏りとしての発達障害=「アスペルガー症候群」と解釈したそうで…
それから、来年か再来年あたりに改訂出版されるDSM-Ⅴ(アメリカ精神医学会の診断マニュアル)についての情報も。
現段階(ドラフト)では、なんと、アスペルガー障害という名称が消えているそうです。かわって、自閉症スペクトラム障害になるとか。
学校現場にようやく「アスペルガー」が浸透し理解されつつあると思ったら、これですよー
大流行といってもよい発達障害(「自分は発達障害ではないか、診断してほしい」と精神科を訪れる大人が、ある著者のクリニックではすごく多いとか。ワタシの職場にも、「うちの子発達障害では?」という親御さんの相談、頻繁にあります)。
ですが、まだまだ、わからないことも多いし、曖昧な、揺れやすい概念といえるのかも…
だから正確な診断というよりも(それも大切ですが)、その人がどうしたら生きやすくなるか、強みは何か、周りはどう理解し支えたらよいか、ということが、臨床家には求められていると、この本からもそんなニュアンスを感じました。